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ティーペック健康ニュース

第307号 2018/04/10  
発行:ティーペック株式会社

『MCI(軽度認知障害)を発見、対処して認知症予防を』

 最近物忘れが多くなったけど年のせい…と片付けていませんか。忘れっぽくなった以外にも、「会話についていけなくなった」「以前簡単にできていた仕事ができなくなった」「必要もないのに同じ物を何度も買う」など、思い当たることがあったら、もしかしたら、MCI(軽度認知障害)になっているかもしれません。
 MCIとは、「認知症まではいかないが、健常ではない」かつ、「数年後に認知症に移行する可能性がある」状態のことをいいます。しかし、早い時点で対処すれば認知症への進行を予防できます。そのためには日頃からMCIを頭の片隅に置いて、おかしいなと思ったらすぐに医療機関を受診する心構えを持ちましょう。
 認知症の前段階がMCI。1年で10%以上の人が認知症に
 認知症とは脳の機能が低下し、また記憶や言語などの認知機能が低下することで、日常生活が困難になる状態を指します。MCIは、認知機能が年齢の平均より低下しているが、日常生活には影響が出るほどではない状態です。いわば正常と認知症の中間に当たる認知症予備群の状態なのです。
 MCIは軽度の認知症と混同されがちですが、自立して生活できるため認知症ではありません。しかし、その状態を放置してさらに認知機能が低下すると、本格的な認知症に進行してしまいます。MCIの人の経過を観察すると、1年で10%以上の人が認知症に進行するとされています。
【MCIと認知症の違い】
  ●認知症/日常生活を送るのが困難なほどに認知機能が低下した状態。
  ●MCI/日常生活に支障はないが、年齢相応以上に認知機能が低下した状態。
【MCIの特徴】
・他の同年代の人に比べて、物忘れの程度が強い。
・物忘れが多いという自覚がある。
・日常生活にはそれほど大きな支障はきたしていない。
・物忘れがなくても、認知機能の障害(失語・失認・失行・実行機能障害※)が1つある。
  ※【失語】言語障害があり、言語の適切な理解と表現ができない
 【失認】感覚機能は損なわれていないが、対象を認識または同定することができない
 【失行】運動機能は損なわれていないにもかかわらず、動作を遂行することができない
 【実行機能障害】計画を立てる、順序立てるなど、目的を果たすために行動できない
 MCIの人が必ず認知症に進行するわけではない
 MCIになった人が必ず認知症になるわけではありません。診断されても多くの人が正常な状態に戻ることが分かっています。つまり、MCIは認知症のリスクがとても高いため、進行を予防する努力をしながら注意深く経過を観察しなければならない状態なのです。
 MCIの段階で薬による治療や脳を活性化させる生活の見直しを行い、認知機能の低下を食い止める努力をすれば、認知症の発症を予防したり、たとえ発症しても症状の進行を緩やかにできます。
 他の病気と同じように認知症も早期発見が大切です。MCIの段階で気付き、専門医の診断を受けて自分の状態を把握することで、認知症への進行を防げます。
 「いつもと違う」を逃さず医療機関を受診する
 それでは、どのようなときに医療機関を受診したらよいのでしょうか。大事にしたいのが「いつもと違う」という感覚です。これまでとは違う物忘れを繰り返す、上手にできていたことが難しくなったなど、本人や家族がおかしいと感じたときが受診のタイミングです。違和感をそのままにしないで、MCIなのかを医療機関でチェックしましょう。
 「年齢のせい」などと考えて放置すると、認知機能の低下がさらに進行し、物忘れが多いことに気が付けなくなってしまうかもしれません。受診の機会を逃さないでください。
<MCIを進行させないために・・・今日からできるセルフケア>
MCIから認知症へ進行させない基本は、頭を使う健康的なライフスタイルです。脳を刺激することで、活きた脳を一生維持しましょう。
 
1. 「いつもと違う…」でMCIをチェック
異常を感じたとき、「年齢のせい」とそのままにしないで、医療機関で医師によるMCIのチェックを受けましょう。心理テストが中心となるため痛みのある検査はありません。
2. 新しいことにチャレンジ。脳を刺激する活動を
脳を刺激するために新しいことに挑戦しましょう。例えば語学学習であれば、「見る・聞く・読む・話す」と多くの能力をフル活用して脳を刺激できます。重要なのは楽しく続けることです。
3. 粗食になりすぎず、バランスの良い魚中心の食生活に
食事では、体の細胞を修復する栄養素であるタンパク質やビタミン類をしっかり取りましょう。特に脳に大切な栄養素の必須脂肪酸(DHA、EPAなど)が多く含まれる青魚がお勧めです。
4. 「週に3日以上」を意識して、日常生活で体を動かそう
体を動かすと脳は活性化します。街歩きをする程度の、日常生活でできることでOK。週に3日以上は意識して体を動かす時間をつくりましょう。一緒に行う仲間がいれば効果倍増です。
◇   ◇   ◇
 厚生労働省が2015年に発表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜」によると、2012年には462万人、65歳以上の高齢者の7人に1人だった認知症患者数が、2025年には約700万人、5人に1人になると見込まれています。さらに、その予備群といわれるMCIの人も認知症の人と同数程度いるとも言われており、認知症対策は社会的な緊急の課題となっています。
 認知症の治療は日進月歩で進化しているとはいえ、やはり発症してからでは回復は困難を極めます。認知症への進行を水際で食い止めることができるよう、自覚症状からMCIを早期に発見できる知識を持つことが、これからの超高齢社会を生きる私たちにとって、とても大切になってくることでしょう。
<参考資料>
『さわやか』2017秋号「MCI(軽度認知障害)の段階で発見!将来の認知症を予防しよう」(制作/社会保険研究所)
厚生労働省ホームページ「みんなのメンタルヘルス」
ほか
原稿・社会保険研究所©
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